TOPIC

プロジェクト・イッカクへの想い

海ごみのない、きれいな海を
見ていたい

リーダー 上野が見た、奥尻島の現実

奥尻島からかかってきた「助けてくれ」という電話

プロジェクト・イッカクに関わるにあたってきれいな海を見ていたいという思いが、私の一番の原動力です。
ただ、きれいな海と言ってもリゾート地の海だけではないと思っています。リゾート地の海はすごく人が働きかけて努力してるのでちゃんとごみは回収されて、綺麗なんですよね。むしろ私が驚いたのはこのプロジェクト・イッカクを通じて出会った奥尻島でした。

ある日突然、島のお母さんから電話がかかってきました。そして、電話口に言われたのが「奥尻島を助けてくれ」という言葉。プロジェクト・イッカクの参加者を募るウェブページではテクノロジーとかデザイナーの方を募集している旨を記載しているのですが、「全然それと関係なくって、島に住んでるんです」と、「うちの島がもう本当にごみだらけで、どうにかしたいという想いでいろいろ検索していしてたら、ここに行きついたのよ」と。「でも、私何もできないんだけど...」という電話をもらったので「とにかく行きます」とだけ言って、私行ったんです、奥尻島に。

砂浜に広がる大量のごみに現実を突きつけられる

人が生きる・生活する場所での海

電話をくれたお母さんは、すごく良い方で、2日ほど泊めてもらいました。砂浜を見に行ってみると、本当にごみがすごかったですね。奥尻島を調べてみるとすごく綺麗な写真がたくさん出てくるのですが、想像以上にひどかった。リゾート地じゃないので、白い砂浜にごみがいっぱいあるとか、そういう感じではない。北海道の土地柄か、砂自体もすごく粒が大きくて、リゾート地のようなきれいなビーチでは元々ないと思うんですけど、やっぱりこれを見た時に、何とかしたいなと、強く思いました。むしろ私はこういう実態を初めて見たのがここだった。すごくきれいなビーチを何とかしたいというよりは、むしろこういう現場というか人が生きている、生活している場所の困った現状を何とかしたいなと思うことができたんですね。この出会いは私にとってはプロジェクト・イッカクを推進していくにあたって、とても貴重な体験となりました。

堤防付近にまで打ち上げられる海ごみ
現状を打破して本来の海の美しさを取り戻したい

最後に

このプロジェクト・イッカクは今回組成された3チームで終わるようなものではありません。これからもっと多くの人を巻き込んでいきたいです。今回の3チームのように世界規模の課題に対して1社ではできないようなことを超異分野チームを組むことで解決しようとしています。このプロジェクトで最初に人を集めたときも、やはりそれぞれの技術だったりアイデアっていうのは、もうかなり皆さん持っていらっしゃいました。ただ、ほんとに世の中に実装されるのに足りていないところが、そういった分野とか組織の壁を越えなければできないことだったりします。今まで出会えなかった人もこういうところで出会えるようになったりとか、第三者の旗振りの下に全然違うチームを作ることで今までできなかったような新しいアイデアにチャレンジできると思います。そういったコミュニティ自体も広げていきたいです。

上野裕子 Ueno Yuko

博士(理学)/創業開発事業部/リバネスアメリカ代表/大学時代は生命の起源の解明を目指し、海などに生息する極限環境微生物の研究を行う。日本国内や海外の大学発スタートアップの発掘と、創業までの伴走支援を行う。