ベンチャー企業だからできた日進月歩の開発
2019年に実施したワークショップを経て3つの解決アプローチが誕生し、本格的に研究開発が始まりました。ここでは、2020年に推進してきた海ごみの削減とビジネス化の両立に向けた3チームの取り組みをご紹介します。
プロジェクト・イッカクは、北は仙台、南は沖縄までの19機関が所属し、海ごみの効果的な「可視化」「回収」「処理」を目的とした3チームで構成されます。プロジェクト開始直後、各チームは沖縄や長崎などの沿岸地域の実態を把握しながら計画をより具体化していきました。
しかし、2020年2月頃から、コロナ禍による影響を大きく受け、移動制限により実証フィールドを活用できない日々が7月頃まで続きました。そのような中、議論を止めずに、計画を練り直しながら検討や準備を進めていきました。移動制限の解除がされ、ようやく8月頃から様々な連携や実証を生みだすような動きができるようになり、その模様をご紹介します。
TEAM 01 |Debris Watchers
▶︎ 衛星・ドローン・定点観測デバイスを駆使した海岸漂着ごみ検知システムを開発するために、7月末に長崎県対馬市の海岸にて、ドローンの空撮と取得画像データの独自AIによる適用を試みました。その結果、漂着ごみをある程度識別できることが分かりました。
▶︎ 海ごみ調査のための衛星画像解析技術を応用し、8月に起こったモーリシャス重油流出事故の被害状況の可視化にも貢献しました。左図は、衛星画像の解析結果例。 赤部が拡散した重油の領域 (2020年8月6日時点)
TEAM 02 |Decentralized Energy(現 Eco Trinity)
▶︎ 経済的かつ持続的なごみ処理・環境浄化システムの構築を目指し、亜臨界水で処理した混合ごみの固形燃料化に成功しました。
▶︎ 藻類がマイクロプラスチックを分解・除去する挙動を確認しました。左図は、珪藻の大型培養水槽。
TEAM 03 |Material Circulator
▶︎ 漂着ブイや人工芝の回収・再資源化で製作された観光アクティビティ用バックが「WORLD CLEANUP DAY JAPAN 2020」にて使用されました。
いよいよ第2期へ突入!ビジネス化の本格検討へ
2020年前半は不運に見舞われたものの、個々の熱意とチームワークにより3チームとも大きな研究成果をあげることができました。プロジェクト開始から2年目となる2021年は、ようやく本格的にビジネス化を検討していきます。そのための市場調査や沿岸地域を活用した実証試験により一層注力し、海ごみに悩む地方自治体や災害地へのソリューション提供をそれぞれのチームから生み出していく予定です。そのためには、ベンチャー企業群だけではなく、大企業のアセットも活用したビジネスモデルの構築が必須となるでしょう。今後も成長を続ける3チームにご注目ください。